ブログ版水野義則Times(アーカイブ)

愛知県尾張旭市の水野義則です。市議会議員を4期13年、市長を2期6年9ヶ月務めさせていただきました。地方自治、政治に携わらせていただいておよそ20年、現職でなくなった今だからこそ発信できることがあると思います。「私が言う」ことで、多くの人が何かを考え、何かを感じていただければと思い、引き続き発信していきたいと思います。

元市長

選挙運動用ポスター掲示場

明日(4/14)から統一地方選挙の後半戦が始まります。選挙において、投票する候補者を選ぶのに、ポスターを見る、という方も多いと思います。選挙ポスターは大きさの上限が決まっており、縦でも横でも大丈夫、記載内容も公序良俗に反したり誹謗中傷が含まれたりしていなければ基本的に自由です。昔は書で自分の名前を書いただけの人もおられたとか。

そして、この選挙ポスターを貼れる場所は「選挙運動用ポスター掲示場」と言い、自治体の選挙管理委員会が場所と数を決めます。尾張旭市の場合は、1エリア7ヶ所で21エリアなので147ヶ所だと思います(確か)。以前は22エリアあったので154ヶ所だった記憶があります。

選挙運動用ポスター掲示場(オープンデータ)

市域が広くなれば、この数も増えていきますので貼る作業は大変になります。尾張旭市は比較的コンパクトなので、逆にポスターだらけという印象を受ける地域もあります。

このポスター掲示場ですが、自治体によってかなり異なります。右からだったり左からだったり、縦3段だったり4段、5段だったり。最近では公平を期すために、番号が順番に並んでいない自治体もあるようです。しかも掲示場ごとに番号の並びがランダム、というところもあるようで、貼り手さんは自分が貼る番号を探すのに四苦八苦でしょう。尾張旭市は右から左、市議選の場合は縦に3段です。

これもかなり経費削減の工夫がされていて、他の選挙のやつと繋げてみたり、再利用ができるようにしてみたりといろいろありましたが、結局はあまり変わらない感じですね。昔はベニヤ板でしたので画鋲で補強していましたが、今は画鋲が刺さらない素材になっています。よって、両面テープで貼るのですが、ポスターを印刷して後付けで貼るのは結構大変でした。最近は、ポスターの裏面が全面両面テープ、というタイプが主流かと思いますが、これは貼る時に裏の紙を剥がしてちょっと油断するとくっついてしまうので、貼り手泣かせではあります。ポスター印刷にお金かけすぎ!などと言われることもありますが、こうした加工をすれば高額にはなります。

ポスター掲示場として使用できる場所もだんだん限られてきていて、選挙のたびに何ヶ所かは場所が変わります。多くは公共施設や公園などに設置されますが、有権者の方に見ていただけることが大前提です。今年のポスター掲示場を見ていると、かなり低い位置に設置されている気がします。見る側にとってはある程度目線の高さくらいのほうが良いのですが、実は貼るほうが大変で、高いところに手が届かないので脚立を持って回っているチームもあります。おそらく、そんな声があって低くしたのだと思います。

IMG_0234

でもこれ、ごみの日は積まれ方によっては被ってしまうポスターもありそうです。この番号は(ほとんど)抽選で決まりますが、12番とか15番を引かれた(引くのは選管)方はちょっとかわいそうかもしれません。

この番号もいろいろ作戦があって、1番が欲しいのはやまやまですが、最上段を希望する人が多いと思います。また、立候補しそうな人数を見極めて、あえて目立つように抽選に参加しない方もおられます。例えば、立候補者が28人になりそうだったら、わざと遅れていって28番を取る、といった感じです。この場合、受付と同時に番号が「ほぼ」決まるので、陣営の動き出しも早くできますし。(届出受理前に貼ることはできませんが)

今回は23名の予定ですので、一番左が2枚になりますね。あまり目立つとも言えないかもしれません。

ポスターを事前に提出しておいて、貼ったものを掲示してくれればいいじゃないか、というような議論を聞いたことがありますが、私は反対です。ポスターの貼り方一つとっても、戦略が出るものです。エリアが広い地域や、政党所属の候補者は、ポスターを貼り合うこともやられています。自治体によっては、シルバー人材センターに仕事としてポスター貼りが依頼できるようになっています。


いずれにしても、明日から選挙が始まります。


県内某所で車が信号待ちになったところにあった選挙事務所予定場所で、看板は丸見えでしたね。わざと白い薄い布を掛けて見えるようにしているのだと思いますが、政党推薦の候補者でもあるようですし、正々堂々とやっていただきたいです。(ちなみにこの方とは面識も何もなく、たまたま通りがかっただけです。他にも透けて丸見えや選挙事務所要提灯の掲示などが散見されました)

「当選御礼」の表示

統一地方選挙の前半戦が終わりました。選挙一色だったSNSの投稿も、選挙結果報告で一段落、といったところでしょうか。今でもたまに勘違いしている方がおられますが、SNSやメール、ホームページなどインターネットを使用した「当選のお礼」「当選の報告」は公職選挙法で認められています。「当選のお礼ができないので…」というような書き込みをまだされている候補者があれば、それは勉強不足です。

一方、それ以外の方法での当選御礼は認められていません。ですので、よく見かける、事務所の外に「当選御礼」とかかれたものを貼り出すことは公職選挙法に抵触します。事務所の中に表示して、たまたま見えちゃった、というのはよく使われる手法ですが、外はアウト、選管によってはすぐ注意がきます。

そもそも、なぜそんなものを貼り出すのか?ということですが、お礼をしたい気持ちもあると思いますが、意外に選挙結果を知らない人が多く、月曜日になり事務所の前を通りがかった時に「ああ、当選されたんだ」と気づいてもらうことができるから、だと個人的には思っています。気持ちは分かりますが、違法です。

また、お礼に駅に立つ、というのもよくあると思います。しかし不特定多数にお礼を述べることは許されていない(と私は聞きました)ので、私は「お早うございます」「いってらっしゃい」「選挙期間中お騒がせしました」とだけ声を掛けていました。市内4駅、どうしても4日間掛かりましたが、中には「翌日にお礼に来ないとは失礼なやつだ!」とわざわざ怒声を浴びせていった方もありました。体は一つしか無いんで…。でも、やはり駅頭活動が迷惑だと感じておられた方だけでなく、候補者に期待して投票した方も、当選後に何らかのアクションを求めているのは確かだと思います。

お礼状も自筆のものを除いては許されていない…はずです。昔、当選決定翌日に、選挙活動で使用した街宣車を看板そのままで市内を走らせ、マイクで「ありがとうございました!」と言って回ったツワモノがいた、というのは伝説になっていますが、あまりに勉強不足です。でも、候補者だった身として、その気持ちは分かります。直接お礼をすることが制限され、任期中の活動で返すことが主となるのが政治家という職業です。

統一地方選挙前半戦投票日

日付が変わり、4/7の投票日当日になりました。もう選挙運動およびそう見なされる行為は一切できません。SNSでのシェアなども該当しますのでご注意を。

福岡県知事選挙の個人演説会での応援演説が問題になり、副大臣の辞任まで発展しました。個別の個人演説会での発言が録音され、拡散され、辞任に追い込むネタにされるとは、いちいち面倒くさいな、とも思います。まあ、リップサービスが過ぎたというか、笑いを取ろうとして失敗したパターンではあると思います。ただ、今の政治のあり方、そして尾張旭市の置かれている状況に関して、かなり本質的な部分が見えてしまったような気もします。それはまた今度、書いてみたいと思います。

それとは別の観点から、国会議員の選挙に限らず、こうした地方の選挙においてもいわゆる

大物政治家

と呼ばれる人たちが、街頭演説や個人演説会に駆り出され、あちこちの会場をはしごする姿は日常茶飯事です。客寄せパンダ、ではありませんが、そういう人が来るなら行ってみたい、という方は少なからずおられ、確かに候補者本人の話を聞いてもらう機会ができる、というメリットはあります。たまに、応援演説が上手すぎて、候補者本人の演説があまりに下手に聞こえて幻滅した、なんて話も聞きますので、プラスの効果ばかりとは限りませんが。

ただ気になるのは、そうした大物政治家の演説を聞いて、この人に投票しようと決める人が少なからずいることです。その大物政治家は投票すべき候補者ではありません。よく人柄を知って候補者を応援に来ているとも限りません。いや、地方選挙ではむしろ知らないことの方が多いでしょう。演説会の会場で「ハジメマシテ」なんてパターンの方が多いはずです。陣営や地元の国会議員に呼ばれたので来た、というだけの方もあり、その場でリーフレットとかを眺めて応援演説を組み立てる、ある意味職人技ですが、それだけで投票先を決めるのが危険なパターンでもあります。やはり候補者本人の演説を聞いて決めるべきだと思います。大物政治家が応援していれば確かな候補者、ということではありません。

出陣式や総決起大会ともなると、一体何人がしゃべるんだ?と愚痴を言いたくなるくらいたくさんの応援弁士が登壇し、それぞれが結構長いけど被るところが多い話をして、いよいよ候補者本人が!という頃には聞く方は疲れてしまっている、なんてことがよくあります。これ、全国どこに行っても似たようなパターンですよねぇ。そろそろ、こういう選挙の手法は見直した方が良いと思うのですが…。会場が満員であることを演出するために、毎日別の会場に駆り出され、毎日同じ話を聞かされている支援者もいるわけで。


統一地方選挙前半戦

今日(4/6)で、統一地方選挙の前半戦の選挙運動が終わりとなります。「選挙運動は20時までだよね」と思っている方が多いでしょうが、それは間違いです。4/6いっぱい、選挙運動は可能です。拡声器を使用できるのが20時までですので勘違いされがちですが、0時までは地声で訴えるのは可能ですし、電話で投票を依頼することも可能です。「マイク収め」といって、20時に街宣活動を終了し、そのまま祝勝会のような打ち上げに入る陣営もあると思いますが、あくまで日付が変わるまで選挙運動は可能です。

一方で、日付が変わると一切の選挙活動はできないことになります。電話であろうとSNSであろうと、投票を依頼することはできません。SNS上で選挙活動中の記事をシェアするのもアウトだと聞いたことがありますので、注意されたほうが良いと思います。

「あれ?でも投票日に選挙事務所から電話がかかってきたけど…」という方もおられると思います。あれは、「投票に行ったかどうか、まだならぜひ投票に行って下さい」という電話であり、特定の候補者への投票依頼でない、という建前で実施されている電話作戦です。冒頭、○○選挙事務所の~、と言っているので、個人的にはかなりグレーだと思ってはいます。

そんな統一地方選挙前半戦、外野ながらいくつか気になったことがあります。

愛知県内を車で走行中(尾張旭市ではない)、少し離れたところで演説をしている声が聞こえてきました。姿は見えませんが、車を止めて聞いていたところ「辺野古の埋立ては中止させます」「安倍政権の暴走を止めます」と述べていました。その候補者の政治的な思想がそれであることは別に構わないと思います。しかし、愛知県議会議員選挙において公約として掲げるのはいささか無理があると思います。そういうことを言うと「沖縄の基地問題は日本国民全員の問題だ」と反論する人が必ずありますが、それならば北方領土の問題も、北朝鮮の問題も、全部入れるべきでしょう。直接できることが、意見書提出くらいなのですから、やはり無理筋と言えるでしょう。あくまで「愛知県議会議員として何をするか」という点で有権者の方は投票する候補者を決めるべきだと思います。

もう一つ、これは後半戦の候補者にも当てはまると思いますが、ネットで「○○に立候補します!」とか「○○選挙立候補予定者」とか書いてあるのが散見されました。私は選管でも警察でもありませんが、おそらく公職選挙法に抵触すると思います。また、事務所開きや出陣式(出発式)の案内が、文書あるいは写真で出回っていますが、これも抵触する恐れがあると思います。後者は「事務連絡」とか「内部連絡」と書いてあることが多いですが、これはあくまで後援会のごく限られた関係者に配付しているもの、という前提だからだと思います。応援しているから親切心で、というのが逆効果になることもありえますから、十分注意して事前運動、選挙運動に臨んでいただきたいです。

「本人」と書かれたのぼりやプラカードもアウトだ、というような書き込みも最近流れていました。あ、街宣車の上の看板を中から照明で照らすのは「基本的に」アウトです。これは都道府県警によって解釈が異なるようですが。愛知県警は明確にダメだと言っているはずです。まあ、微妙な書き方をしたのには訳がありますけどね。

なかなか政治家でも知らない、というか解釈が難しいことが多いのが公職選挙法です。

無投票当選と選挙費用

全国で統一地方選挙の前半戦が始まっていますが、マスコミやネット記事は無投票当選批判一色といった感じですね。立候補者数よりも無投票当選者数をメインで報道するなんて、市民の政治不信・政治家不信を増幅させようという意図が見え隠れして、下衆な感じがしますね。無投票だと馴れ合いになるとか、チェック機能が低下するとか、全く根拠のない言いがかりも残念な感じです。政治とか選挙とかって、そういうものでは決して無いですし、そう思うなら一度その立場になってみたら分かると思います。地方の議会では成り手不足で定員割れを起こしているところもありますから、そこで立候補してみたらいいと思います。県議会議員選挙なんて、住民票無くても立候補できますし。無投票と言われていた瀬戸選挙区が一転して選挙戦になったのは、尾張旭市在住の医師が立候補したからです。自分には投票できませんが、無投票を阻止することは十分に可能です。河村市長風に言えば「そんなに言うならあんたが出りゃええがね」というところでしょうか。マスコミも市民の負の感情を不必要に煽るだけじゃなくて、市民に選択肢を与える努力もしてみてはいかがでしょうか?

私が市長2期目に無投票当選となった時に、一番言われたのは「儲かったね」ということでした。平たく言うと「選挙にお金使わなくなって儲けものだね」という意味です。実際には、選挙期間が7日から1日になったからといって、選挙にかかる費用が1/7になるわけではないんですけどね。

そもそも、選挙にいくらかかるか?というのは、その候補者がどういう選挙をやるのかとか、選挙エリアの広さ、立候補者数などによって変わってきます。尾張旭市ですと、市議選は最低100万円くらいと言われていますが、中には数十万円しかかけない方もおられます。市長選では1000~1500万円と言われていましたが、私はとてもそこまでかける余裕はなかったのでそれよりかなり少ない金額でした。「選挙にかかる費用」というと多くの人は賄賂とか、そういう裏のお金を想像しがちですが、実際には事務所費用と印刷費が大きいです。今回の市議会議員選挙からマニフェストの配布が一部解禁となりましたので、以前より選挙費用がかかる候補者が多いと想像されます。

選挙にかかる費用と、選挙後に選挙管理委員会に提出する収支報告書の金額は全く一致しません。なぜなら、後者は基本的に「選挙に直接関わった費用」を計上するためです。後援会活動のためのリーフレットの印刷費用などは、選挙を目的としたものであっても、選挙費用ではありません。事務所にかかった費用も、家賃や光熱水費は日割の7日分、選挙のための改修費用などは全額を選挙費用として計上します。例えば、家賃が8万円/月ですと、選挙費用として計上するのは約2万円、選挙にかかる費用としては8万円ということになります。もっとも、選挙用に事務所を借りると、1ヶ月とかではなかなか貸していただけないので、使わなくても3ヶ月借りたりする必要があり、選挙にかかる費用は増えることとなります。

結局、無投票になっても選挙準備は同じようにしますので、そこにかかる費用は変わりません。変わるのは、6日分の車上運動員、いわゆるウグイスさんの費用や食糧費、広告掲載料くらいでしょうか。印刷物も印刷してしまっているので減らせませんし、むしろ配布できないので余ったものを処分する費用がかかります。選挙カーの費用も、1日分だけというわけにもいかないので同じだけかかります。それなのに選挙公営では1日分の負担となるので、実質候補者には負担増となります。ウグイスさんも普通に手配するとキャンセル不可なので、同じだけ費用がかかる場合もあります。某市長選が無投票になった時(私ではありません)、キャンセルしても7日分まるまる取られたとして、仕事しないのに丸儲けじゃないか!と怒っていた市長もいました。

ということで、感覚的には選挙にかかる費用はほとんど変わらないですね。体力的と精神的な負担は減りますけど。無投票と言われていても、無投票阻止のために立候補する人があれば普通に選挙を戦わなければなりませんし。私の市長選の時も、2人くらい立候補関係書類を取りにきてて、直前まで「出るかも」という話がありました。お隣の某市では、無投票となる告示日当日の17時ぎりぎりに、周りの制止を振り切って提出した候補者があり、バンザイの準備をしていた現職も急遽7日間選挙をすることになった、という事例もあります。突然出てきた相手だから選挙やらなくていい、ということにはなりませんしね。こんな風にバッシングされるほど楽ではないですよ、無投票当選は。尾張旭市議会議員選挙も平成7年は無投票でしたが、皆さんそれぞれに苦労されていたと伺っています。そういったこともちゃんと取材して記事にしていただきたいものです。

あ、もちろん「投票」という仕事が減る分、自治体等の負担はかなり減ります。既に印刷していた投票券などは廃棄するしかないです。投票用紙も持ち帰ったものを次に使えないようにその時限りのものを用意しているはずなので、おそらくは廃棄でしょう。人件費がかからないのが大きいと思います。

アクセスカウンター

    最新コメント
    プロフィール

    mizunoyoshinori

    記事検索
    月別アーカイブ
    QRコード
    QRコード