ブログ版水野義則Times(アーカイブ)

愛知県尾張旭市の水野義則です。市議会議員を4期13年、市長を2期6年9ヶ月務めさせていただきました。地方自治、政治に携わらせていただいておよそ20年、現職でなくなった今だからこそ発信できることがあると思います。「私が言う」ことで、多くの人が何かを考え、何かを感じていただければと思い、引き続き発信していきたいと思います。

選挙

統一地方選挙前半戦投票日

日付が変わり、4/7の投票日当日になりました。もう選挙運動およびそう見なされる行為は一切できません。SNSでのシェアなども該当しますのでご注意を。

福岡県知事選挙の個人演説会での応援演説が問題になり、副大臣の辞任まで発展しました。個別の個人演説会での発言が録音され、拡散され、辞任に追い込むネタにされるとは、いちいち面倒くさいな、とも思います。まあ、リップサービスが過ぎたというか、笑いを取ろうとして失敗したパターンではあると思います。ただ、今の政治のあり方、そして尾張旭市の置かれている状況に関して、かなり本質的な部分が見えてしまったような気もします。それはまた今度、書いてみたいと思います。

それとは別の観点から、国会議員の選挙に限らず、こうした地方の選挙においてもいわゆる

大物政治家

と呼ばれる人たちが、街頭演説や個人演説会に駆り出され、あちこちの会場をはしごする姿は日常茶飯事です。客寄せパンダ、ではありませんが、そういう人が来るなら行ってみたい、という方は少なからずおられ、確かに候補者本人の話を聞いてもらう機会ができる、というメリットはあります。たまに、応援演説が上手すぎて、候補者本人の演説があまりに下手に聞こえて幻滅した、なんて話も聞きますので、プラスの効果ばかりとは限りませんが。

ただ気になるのは、そうした大物政治家の演説を聞いて、この人に投票しようと決める人が少なからずいることです。その大物政治家は投票すべき候補者ではありません。よく人柄を知って候補者を応援に来ているとも限りません。いや、地方選挙ではむしろ知らないことの方が多いでしょう。演説会の会場で「ハジメマシテ」なんてパターンの方が多いはずです。陣営や地元の国会議員に呼ばれたので来た、というだけの方もあり、その場でリーフレットとかを眺めて応援演説を組み立てる、ある意味職人技ですが、それだけで投票先を決めるのが危険なパターンでもあります。やはり候補者本人の演説を聞いて決めるべきだと思います。大物政治家が応援していれば確かな候補者、ということではありません。

出陣式や総決起大会ともなると、一体何人がしゃべるんだ?と愚痴を言いたくなるくらいたくさんの応援弁士が登壇し、それぞれが結構長いけど被るところが多い話をして、いよいよ候補者本人が!という頃には聞く方は疲れてしまっている、なんてことがよくあります。これ、全国どこに行っても似たようなパターンですよねぇ。そろそろ、こういう選挙の手法は見直した方が良いと思うのですが…。会場が満員であることを演出するために、毎日別の会場に駆り出され、毎日同じ話を聞かされている支援者もいるわけで。


統一地方選挙前半戦

今日(4/6)で、統一地方選挙の前半戦の選挙運動が終わりとなります。「選挙運動は20時までだよね」と思っている方が多いでしょうが、それは間違いです。4/6いっぱい、選挙運動は可能です。拡声器を使用できるのが20時までですので勘違いされがちですが、0時までは地声で訴えるのは可能ですし、電話で投票を依頼することも可能です。「マイク収め」といって、20時に街宣活動を終了し、そのまま祝勝会のような打ち上げに入る陣営もあると思いますが、あくまで日付が変わるまで選挙運動は可能です。

一方で、日付が変わると一切の選挙活動はできないことになります。電話であろうとSNSであろうと、投票を依頼することはできません。SNS上で選挙活動中の記事をシェアするのもアウトだと聞いたことがありますので、注意されたほうが良いと思います。

「あれ?でも投票日に選挙事務所から電話がかかってきたけど…」という方もおられると思います。あれは、「投票に行ったかどうか、まだならぜひ投票に行って下さい」という電話であり、特定の候補者への投票依頼でない、という建前で実施されている電話作戦です。冒頭、○○選挙事務所の~、と言っているので、個人的にはかなりグレーだと思ってはいます。

そんな統一地方選挙前半戦、外野ながらいくつか気になったことがあります。

愛知県内を車で走行中(尾張旭市ではない)、少し離れたところで演説をしている声が聞こえてきました。姿は見えませんが、車を止めて聞いていたところ「辺野古の埋立ては中止させます」「安倍政権の暴走を止めます」と述べていました。その候補者の政治的な思想がそれであることは別に構わないと思います。しかし、愛知県議会議員選挙において公約として掲げるのはいささか無理があると思います。そういうことを言うと「沖縄の基地問題は日本国民全員の問題だ」と反論する人が必ずありますが、それならば北方領土の問題も、北朝鮮の問題も、全部入れるべきでしょう。直接できることが、意見書提出くらいなのですから、やはり無理筋と言えるでしょう。あくまで「愛知県議会議員として何をするか」という点で有権者の方は投票する候補者を決めるべきだと思います。

もう一つ、これは後半戦の候補者にも当てはまると思いますが、ネットで「○○に立候補します!」とか「○○選挙立候補予定者」とか書いてあるのが散見されました。私は選管でも警察でもありませんが、おそらく公職選挙法に抵触すると思います。また、事務所開きや出陣式(出発式)の案内が、文書あるいは写真で出回っていますが、これも抵触する恐れがあると思います。後者は「事務連絡」とか「内部連絡」と書いてあることが多いですが、これはあくまで後援会のごく限られた関係者に配付しているもの、という前提だからだと思います。応援しているから親切心で、というのが逆効果になることもありえますから、十分注意して事前運動、選挙運動に臨んでいただきたいです。

「本人」と書かれたのぼりやプラカードもアウトだ、というような書き込みも最近流れていました。あ、街宣車の上の看板を中から照明で照らすのは「基本的に」アウトです。これは都道府県警によって解釈が異なるようですが。愛知県警は明確にダメだと言っているはずです。まあ、微妙な書き方をしたのには訳がありますけどね。

なかなか政治家でも知らない、というか解釈が難しいことが多いのが公職選挙法です。

無投票当選と選挙費用

全国で統一地方選挙の前半戦が始まっていますが、マスコミやネット記事は無投票当選批判一色といった感じですね。立候補者数よりも無投票当選者数をメインで報道するなんて、市民の政治不信・政治家不信を増幅させようという意図が見え隠れして、下衆な感じがしますね。無投票だと馴れ合いになるとか、チェック機能が低下するとか、全く根拠のない言いがかりも残念な感じです。政治とか選挙とかって、そういうものでは決して無いですし、そう思うなら一度その立場になってみたら分かると思います。地方の議会では成り手不足で定員割れを起こしているところもありますから、そこで立候補してみたらいいと思います。県議会議員選挙なんて、住民票無くても立候補できますし。無投票と言われていた瀬戸選挙区が一転して選挙戦になったのは、尾張旭市在住の医師が立候補したからです。自分には投票できませんが、無投票を阻止することは十分に可能です。河村市長風に言えば「そんなに言うならあんたが出りゃええがね」というところでしょうか。マスコミも市民の負の感情を不必要に煽るだけじゃなくて、市民に選択肢を与える努力もしてみてはいかがでしょうか?

私が市長2期目に無投票当選となった時に、一番言われたのは「儲かったね」ということでした。平たく言うと「選挙にお金使わなくなって儲けものだね」という意味です。実際には、選挙期間が7日から1日になったからといって、選挙にかかる費用が1/7になるわけではないんですけどね。

そもそも、選挙にいくらかかるか?というのは、その候補者がどういう選挙をやるのかとか、選挙エリアの広さ、立候補者数などによって変わってきます。尾張旭市ですと、市議選は最低100万円くらいと言われていますが、中には数十万円しかかけない方もおられます。市長選では1000~1500万円と言われていましたが、私はとてもそこまでかける余裕はなかったのでそれよりかなり少ない金額でした。「選挙にかかる費用」というと多くの人は賄賂とか、そういう裏のお金を想像しがちですが、実際には事務所費用と印刷費が大きいです。今回の市議会議員選挙からマニフェストの配布が一部解禁となりましたので、以前より選挙費用がかかる候補者が多いと想像されます。

選挙にかかる費用と、選挙後に選挙管理委員会に提出する収支報告書の金額は全く一致しません。なぜなら、後者は基本的に「選挙に直接関わった費用」を計上するためです。後援会活動のためのリーフレットの印刷費用などは、選挙を目的としたものであっても、選挙費用ではありません。事務所にかかった費用も、家賃や光熱水費は日割の7日分、選挙のための改修費用などは全額を選挙費用として計上します。例えば、家賃が8万円/月ですと、選挙費用として計上するのは約2万円、選挙にかかる費用としては8万円ということになります。もっとも、選挙用に事務所を借りると、1ヶ月とかではなかなか貸していただけないので、使わなくても3ヶ月借りたりする必要があり、選挙にかかる費用は増えることとなります。

結局、無投票になっても選挙準備は同じようにしますので、そこにかかる費用は変わりません。変わるのは、6日分の車上運動員、いわゆるウグイスさんの費用や食糧費、広告掲載料くらいでしょうか。印刷物も印刷してしまっているので減らせませんし、むしろ配布できないので余ったものを処分する費用がかかります。選挙カーの費用も、1日分だけというわけにもいかないので同じだけかかります。それなのに選挙公営では1日分の負担となるので、実質候補者には負担増となります。ウグイスさんも普通に手配するとキャンセル不可なので、同じだけ費用がかかる場合もあります。某市長選が無投票になった時(私ではありません)、キャンセルしても7日分まるまる取られたとして、仕事しないのに丸儲けじゃないか!と怒っていた市長もいました。

ということで、感覚的には選挙にかかる費用はほとんど変わらないですね。体力的と精神的な負担は減りますけど。無投票と言われていても、無投票阻止のために立候補する人があれば普通に選挙を戦わなければなりませんし。私の市長選の時も、2人くらい立候補関係書類を取りにきてて、直前まで「出るかも」という話がありました。お隣の某市では、無投票となる告示日当日の17時ぎりぎりに、周りの制止を振り切って提出した候補者があり、バンザイの準備をしていた現職も急遽7日間選挙をすることになった、という事例もあります。突然出てきた相手だから選挙やらなくていい、ということにはなりませんしね。こんな風にバッシングされるほど楽ではないですよ、無投票当選は。尾張旭市議会議員選挙も平成7年は無投票でしたが、皆さんそれぞれに苦労されていたと伺っています。そういったこともちゃんと取材して記事にしていただきたいものです。

あ、もちろん「投票」という仕事が減る分、自治体等の負担はかなり減ります。既に印刷していた投票券などは廃棄するしかないです。投票用紙も持ち帰ったものを次に使えないようにその時限りのものを用意しているはずなので、おそらくは廃棄でしょう。人件費がかからないのが大きいと思います。

無投票と政治活動用のポスター

愛知県では県議会議員選挙が今日(3/29)から始まりました。いくつかの選挙区では、定数と立候補者数が同数となったため、17時の立候補届出の締切をもって無投票当選が確定したようです。(実際には選挙管理委員会で確定)

どうやら無投票当選の選挙区の数が史上最多のようで、こうなると「投票する権利を奪われた」「そもそも定数が多い」「議員なんて不要」という声、というか論評が増えますよね。そして候補者には「こんな楽して当選して、4年間税金で食うのか」という言葉も浴びせられます。私も市長2期目は無投票でしたが、「無投票だから仕方ない」「誰か出ていればお前なんか当選しなかった」などというご意見を「わざわざ」送ってくる方もありました。しかし、私は自分が無投票を経験する以前から言っているのですが、無投票になったのは候補者の責任ではありません。立候補しなかった、その他の方の責任です。政党は、全選挙区に候補者を立てるのが理想ではありますが、選挙区によってはそうもいかない事情もあるでしょうし、そもそも候補者を立てて無投票を阻止する義務はありません。私は、選挙は政策の闘いだと考えていますので、単に無投票阻止のために手だけ挙げることには賛同できません。選挙に立候補する、というのは本当に大変なことです。それはやはりちゃんと評価するべきだと思います。

そう言えば、一時期は20人の定員に30人くらいが立候補を予定していると言われていた尾張旭市議会議員選挙ですが、名前の挙がっていた人の取りやめが相次ぎ、結局23名くらいになるようですね。これくらいなら、ある程度選挙準備のことが分かっている人であれば、今から準備しても作戦次第では当選ラインに入る可能性もあると思います。

今日、県内(尾張旭市ではない)を移動していて、あちこちで県議会議員選挙立候補者のいわゆる2連ポスター(看板)を見かけました。これは選挙期間中は掲示が認められていないものなので、多くは上から別のポスターを貼ったり、候補者のところだけ別の人のシールを貼ったりするものですが、そうしていない陣営があるということです。そうしたポスターの掲示してある場所を正確に把握できていない、ということであれば後援会や事務所の管理能力に疑問符が付きますし、知っててあえて注意されるまで放置している、ということであればこれは悪質ということになります。議員になろうと選挙に立候補している皆さんですので、理不尽であろうとなかろうと、公職選挙法を遵守する方向で正々堂々と政策で勝負していただきたいと思います。そしてそれば、選ぶ側にも問われていることです。



選挙事務所

明日(3/29)から、愛知県では県議会議員選挙が始まります。あれ?選挙って日曜日からじゃ?と思われる方もあるかもしれませんが、選挙の種類によって選挙期間は異なります。都道府県議会議員選挙や政令指定都市の市議会議員選挙は9日間なので金曜日スタートになります。尾張旭市選挙区は市議会議員選挙とエリアが全く一緒ですので、期間を長くする意味はあまりないですけどね。

選挙事務所になる場所は、紅白幕で覆われ準備万端といった感じでしょうか。ちなみに、この辺りでは当たり前のような光景ですが、地域によっては選挙事務所に紅白幕をしないところもあるそうです。私の選挙を応援しに遠方から来てくれた方が驚いていました。

しかし、選挙事務所の看板は白い布のようなもので覆われているところが多いことに気づいた方もあるでしょう。これは、立候補の届出書類の中に選挙事務所設置の申請書があり、これが受理されて初めてそこが選挙事務所になるため、告示前に選挙事務所だと言うことはできないためです。多くは、後援会事務所として機能させておき、立候補と同時に選挙事務所に切り替えることになります。しかし、その布も透けていて看板の文字が読めることも多いことに気づくと思います。これは、せっかく看板を立てるのだから少しでも宣伝したい、という気持ちの表れでもありますが、厳密に言えばアウトでしょう。相手陣営から選挙管理委員会にチクリが入り注意を受けることもあるようです。もっとも、候補者が意識していなくても、看板を設置する業者が「気を利かせて」見えるもので覆って納品することもあるようですが。雨が降ったりすると丸見えになる場合もあります。これから選挙で政策を訴えようというみなさんですので、そのあたりは正々堂々として欲しいですね。ちなみに、私はダンボールで覆っていました。これは選挙カーの看板にも同じことが言えます。警察で事前審査を受けた後、見えるようにしているケースも散見されますね。(念のため、尾張旭市だけの話ではありません)

選挙事務所は候補者1人に1ヵ所ですが、「同時に」という条件ですので、いわゆる「移動事務所」を開設する候補者もいます。特に、選挙区が広い地域では、ある日だけ別の場所に選挙事務所を設置する場合もあります。その場合、前の選挙事務所は閉鎖という届けをします。実際、人はいますが、そこでマニフェスト等を配布することはできなくなります。

もう一つ、投票所から半径300m以内にある選挙事務所は、投票日当日は看板を隠す必要があります。これは「公平を期すため」とされていますが、多くの投票所にはポスター掲示場が設置されていますので、選挙事務所が近いことで公平性が損なわれるかは疑問です。300mの根拠も不明ですが、昔からおかしな法律だなあと思う部分です。

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