本日(3/2)、平成28年第2回尾張旭市議会3月定例会の初日において述べた、施政方針の内容です。
----------
平成28年第2回尾張旭市議会定例会の開会にあたりまして、新年度の施政方針と当初予算における主要施策の概要を申し述べ、市議会議員並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
まず初めに、去る2月21日に告示されました市長選挙におきまして、市民の皆様並びに議員の皆様のご支援、ご支持を賜り、無投票ではありましたが、再選という結果となりましたことに、心より感謝を申し上げます。この後の4年間、市政を担わせていただく、その使命の大きさと責任の重さに、改めて身の引き締まる思いがいたしております。市民の皆様の信頼と期待に応えるべく、決して慢心せず、初心を忘れることなく、市長としての責務を果たしてまいります。市民の皆様並びに議員の皆様には、引き続きご支援、ご協力をいただきますようお願いいたします。
市長2期目の所信につきましては、後の機会に表明させていただくものといたしまして、本定例会は、私にとりまして、1期目の任期の最後の定例会でございますので、この4年間で取り組んでまいりました市政運営について振り返りながら、新年度の当初予算の概要を申し述べさせていただきます。
私が、平成24年3月に市民の皆様のご支持をいただき、市長として尾張旭市政を運営するという重責を担わせていただいてから、早いもので4年の歳月が流れようとしています。私は、市長に就任して以来、「みんなで支えあうまち」を市民の皆様とともに築き上げていく、ということを市政運営の基本姿勢として据え、スピード感と決断力を持って市政の舵取りに全力を傾けてまいりました。この間、市民の皆様や議員の皆様から多大なご協力と温かいご指導、ご助言をいただきましたことに深く感謝申し上げます。
顧みますと、この4年間、現場に出て市民の皆さんの声をお聴きし、説明をし、提案をし、それを形として市民生活に反映することで、市政に市民の意見や考えを取り入れてまいりました。
例えば、自治会などの活動を支援するための、公民館への校区担当職員の配置や、消防団の2つの分団車庫の建替など、頑張る皆さんを応援するという姿勢や意気込みを、多くの方に感じていただけたのではないでしょうか。
また、先進事例があまり無いような新しい取組にも、果敢に挑戦してまいりました。市内のコンビニエンストア全店舗へのAED設置や、軽度認知障がいのチェックテスト「あたまの元気まる」の導入は、他の自治体に先駆けた事業であり、いろいろなご意見もいただきましたが、現在では他自治体からの視察も多く、全国的な先進事例となってきたという自負がございます。さらに、こういったものを含め、あらゆる市の取組について、各種メディアを活用し、市内外に積極的に情報発信する「シティセールス」にも力を入れてまいりました。まだ緒についたばかりではありますが、尾張旭市の知名度は上がってきていることを、市民や議員の皆様にも実感していただけているのではないかと思っているところであります。
この4年間の取組の中には、成果が得られているものもあれば、芽が出始めたばかりものもあります。こうした成果をさらに伸ばし、出始めた芽を大きく育てて、市民の皆様にとって住みやすい、住み続けたいまち、市外の方からは、住んでみたいまちとなるよう、今後も皆様方にご協力をいただきながら、全身全霊で市政運営に努めてまいります。
現在国では、経済再生と財政健全化を共に達成しつつ、中長期的に持続する成長メカニズムの構築を目指す取組を進めています。その中で、地方には、それぞれの特徴を活かした自律的で持続可能な社会を創生できるよう、平成27年度中に「地方版総合戦略」を策定することを要請しており、平成28年度からは、その具体的な事業を本格的に推進し、人口減少と地域経済縮小の悪循環に歯止めをかけようとしています。
このような情勢において、本市の状況に目を転じますと、堅調な市税収入に加え、消費税率の引上げによる地方消費税交付金の増加など、歳入の増加基調が見られます。
一方、多くの自治体に共通の、増加する社会保障費への対処や都市基盤整備の推進、老朽化した公共インフラへの対策などの課題は、本市においても例外ではありません。さらに、多様化、複雑化する新たな行政課題にも対応していく必要があります。こうした中、自分たちの未来を自分たちの創意工夫で切り拓いていくことが、まさに今、私たちに求められている「地方創生」であると認識しており、先を見据えた独自性の高い市政運営に挑戦してまいります。
新年度予算につきましては、一般会計、特別会計及び企業会計を合わせた総額は、およそ424億円となっております。
このうち一般会計の予算額につきましては、222億円であり、前年度と比較いたしますと、7億円、率にして3.1%の減少でございます。予算規模が縮小した要因といたしましては、2月に市長選挙が予定されておりましたことから、当初予算は、義務的経費及び経常的経費を計上することを原則とし、投資的経費は6月の補正予算に計上することとした、骨格的予算として編成をしたためでございます。
しかしながら、行政サービスを安定的に提供していくため、投資的経費のうち、市民生活に直結する事業や緊急性を要する事業、継続的な事業につきましては、当初予算に計上をいたしております。また、市債残高の縮減を図り、財政調整基金等を有効に活用するなど財政運営の健全性や持続性を確保しながら、財政基盤の強化にも努めております。
本市の歳入の根幹をなす市税につきましては、全体で121億8,760万円となり、前年度比8,500万円ほど、0.7%の減収を見込んでおります。
このうち、市民税では、前年度比2億2,190万円、3.6%の減少の58億9,010万円となっております。これは、個人市民税は、雇用情勢や所得の改善の動きを受け、前年度比1億4,800万円、2.8%の増加を見込んでいるものの、法人市民税は、市内企業の業績の落ち込みや税制改正の影響を受け、前年度比3億6,990万円、42.1%の減少を見込んだことによるものです。
また、固定資産税では、新築家屋の増加などもあり、前年度に比べ2.2%増の46億4,800万円を見込んでおります。
次に、配当割交付金、株式等譲渡所得割交付金につきましては、景気動向を反映いたしまして、それぞれ40.2%増の1億5千万円、84.9%増の1億3,500万円を見込むほか、地方消費税交付金につきましても、10.8%増の13億3千万円を見込んでおります。
次に、地方交付税につきましては、各種交付金の増加の反動により、普通地方交付税で7.9%の減少となる5億8千万円の交付を見込んでおります。
次に、繰入金につきましては、老朽化した公共施設の整備などに充当するため、公共施設整備基金から1億9千万円を、不足する財源を補填するため、財政調整基金から5億円を、それぞれ繰り入れます。
最後に、市債につきましては、小学校施設整備事業や都市計画道路霞ヶ丘線整備事業など4つの事業に伴うものとして、2億1千万円を、臨時財政対策債として、5億9千万円を、それぞれ計上いたしております。市債全体では、前年度に比べ、4億8千万円、37.5%の減少となる8億円となります。
次に、新年度に実施いたします主要な事業につきまして、第五次総合計画に掲げる8つの政策の順に概要を述べさせていただきます。
まずは、政策1「みんなで支えあう健康のまちづくり」についてです。
市民の皆様一人ひとりがいきいきと健康に暮らせるよう、さらに健康のまちづくりを進めてまいります。また、8月に韓国で開催される第7回健康都市連合国際大会に参加し、本市の健康都市づくりの取組を世界に発信してまいります。
・「健康づくりの推進」では、軽度認知障がいチェックテスト「あたまの元気まる」や禁煙外来治療費の補助制度を継続実施するなど、市民の健康の維持増進を図ってまいります。
また、種類や回数の増加で複雑化してきている子どもの予防接種スケジュールを、保護者が自身で管理できるよう、尾張旭市版予防接種スケジュール管理アプリを提供いたします。
・「地域医療・福祉医療の推進」では、第1次救急医療体制の継続と、定点化による市民の利便性の向上を図るため、現在の休日救急当直医の在宅輪番制に代わり、平成29年8月頃を目標に、瀬戸市と共同で、休日急病診療所を設置してまいります。
・「子育て支援の推進」では、保育園の待機児童対策として、市内で初めてとなる小規模保育事業所2か所の開設について、必要な手続きを進めるとともに、本地ヶ原保育園の2歳児定員を拡充し、3歳未満児の定員を合計で39名拡充いたします。
また、放課後児童クラブの待機児童対策として、児童館内にある旭丘児童クラブを旭丘小学校の多目的教室に移設し、定員を拡充いたします。さらに、計画的に進めております児童クラブ開設時間の延長につきましても、瑞鳳、渋川児童クラブを民間運営に移行し、午後7時まで開設いたします。
・「高齢者福祉の推進」では、高齢者のはいかいによる事故を未然に防止するため、はいかい高齢者を早期に発見する協力体制を構築する取組として、はいかい高齢者おかえり支援サポーターの募集と、おかえり支援メールの配信を開始いたします。
・「障がい者福祉の推進」では、地域における相談支援の中核的な機関である「障がい者基幹相談支援センター」について、相談件数の増加及び困難事例等の複合的な支援に対応するため、相談員を1名増員し、体制を強化いたします。
・「地域福祉の推進」では、平成28年度から32年度までを計画期間とする第3期地域福祉計画に基づき、ともに支えあい、安心して暮らせる地域社会の形成を進めます。
また、生活困窮等により、学習する機会や環境に恵まれない中学生に対して学習支援を行い、基礎学力・進学率の向上及び貧困の連鎖の防止を目指します。
次に、政策2「豊かな心と知性を育むまちづくり」についてです。
豊かな心と健やかな体を育み、確かな学力を身につけることのできる学校教育の推進を図るとともに、まち全体で次代を担う人材の育成に努めてまいります。
また、生涯を通じて学ぶことができる場を提供し、人生を豊かにする多様な活動の推進に取り組んでまいります。
・「豊かな心・健やかな体を育む教育の推進」では、いじめ・不登校対策、生徒指導及び教職員研修、学校と地域の連携などを充実、拡大するため、学校教育担当指導主事を1名増員し、3名体制といたします。
・「確かな学力を育む教育の推進」では、平成27年度から引き続きとなる東栄小学校の大規模改造工事を完了させる他、老朽化した学校施設の改修を計画的に進めてまいります。
また、地域の異世代の人たちと児童が話し合う場を持つことで、地域と学校が協同して、学校を取り巻く様々な課題に対応できるよう、地域学校支援研究事業の委託対象校区を新たに2校区増やし、3校区で実施いたします。
・「生涯学習の振興」では、多彩な講座を開催し、市民の皆様が生涯にわたり学習できる環境づくりに努めてまいります。
また、図書館においては、子どもたちを対象としたあさぴー読書通帳に続き、中学生以上を対象とした読書通帳を作成・配布し、市民の読書をさらに奨励してまいります。
・「文化の継承と振興」では、一般開放来場者の皆様にもご協力をいただきました文化振興基金を活用し、国の登録有形文化財である、どうだん亭の庭園に設置されているくぐり門を修繕いたします。
また、文化芸術活動の拠点である文化会館のワイヤレスマイクを、アナログ式からデジタル式の機器に取り換え、環境整備を図ってまいります。
・「スポーツの振興」では、晴丘テニスコートを、誰もが安全に利用でき、魅力のある施設に整備するための実施設計を行ってまいります。
次に、政策3「快適な生活を支えるまちづくり」についてです。
快適な生活を支えるためには、安心して生活することができる都市基盤の整備を進めていく必要があります。計画的に整備を進めるとともに、適切な維持管理を行い、住環境の質の向上に努めてまいります。
・「質の高い住環境の整備」では、北原山地区の土地区画整理事業について、関係各位のご協力をいただきながら事業を推進してまいります。また、旭前城前地区の土地区画整理事業では、事業の最終年度を迎えることから、その円滑な完了に向けて、旭前城前特定土地区画整理組合を引き続き支援するとともに、同地区内に計画されている最後の都市公園を整備いたします。
・「快適に移動できる交通基盤の整備」では、鋭意取り組んでおります都市計画道路霞ヶ丘線の整備について、事業のさらなる進捗を図ります。
また、市営バス事業においては、安定した運行を行うため、平成27年度に引き続き、老朽化したバス2台を更新いたします。さらに、市民からのご要望を踏まえ、日・祝日の運行を開始するとともに、運行頻度を高くし、平日は1時間に1本の運行といたします。他にも、ルートの変更や定期乗車券の導入など、利便性を向上し、市民の外出機会の拡大を図ってまいります。
・「雨水対策・河川整備の推進」では、愛知県消防学校南、城山東大道1号線を対象として、局地的豪雨による道路冠水対策を検討いたします。
次に、政策4「安全で安心なまちづくり」についてです。
安心して日々の暮らしを送るために、防災、防犯、交通安全対策を推進してまいります。また、大規模災害の発生に備え、市民の皆様のご協力をいただきながら、災害に強いまちづくりを進めてまいります。
・「防災・減災対策の推進」では、南海トラフ巨大地震を対象とした最新の想定避難者数に基づき、計画的に食料等の備蓄を進めてまいります。
また、大規模災害が発生した場合に、安心して利用できるトイレ環境を整えるため、指定避難所である小・中学校に、簡易型のトイレテントを配備いたします。
・「消防・救急体制の充実」では、市内のコンビニエンストア全店舗へAEDを設置するなど、誰もが24時間いつでもAEDを利用できる環境づくりをこれまで進めてまいりましたが、地域間で利用できる環境に差が生じていることから、設置施設を増加するとともに、全ての小・中学校と一部の公共施設の屋内に設置されているAEDを、屋外へ移設します。
また、購入から15年が経過し、老朽化が進んでいる災害対応特殊水槽付消防ポンプ車を更新いたします。
このほか、第61回愛知県消防操法大会が本市内にある愛知県消防学校で開催されることから、県内の消防団が訓練の成果を十分に発揮できるよう、大会の開催に向けて万全を期して準備を進めるとともに、県内各地からお越しになる来場者に対して魅力ある尾張旭市をPRいたします。
・「交通安全対策の推進」では、利用者が多い南栄3号線において、安全性を向上させるため、平成27年度に引き続き、車道の拡幅や歩道の整備を実施するほか、交通量の多い巡検道線の中央分離帯に横断防止柵を設置いたします。
・「防犯対策の推進」では、振り込め詐欺対策として、自動通話録音機を購入し、そのモニターを募集します。モニタリング及びアンケートの結果を通して効果を検証し、防犯の啓発活動に繋げてまいります。
・「消費者・生活者の安心の確保」では、4月から市役所庁舎内に開設する消費生活センターにおいて、全国消費生活情報ネットワークシステムを導入するなど、複雑多様化している消費者相談への対応を図ってまいります。
次に、政策5「環境と調和したまちづくり」についてです。
資源循環型社会の実現は、市民・事業者・行政が一体となって取り組まなければなりません。皆様にご協力をいただきながら、本市の恵まれた自然環境を次世代に引き継ぐとともに、環境と共生したまちづくりを進めてまいります。
・「資源循環型社会の形成」では、現在、隔週となっているプラスチック製容器包装ごみの収集を、一部地域で試行した毎週収集の検証結果を踏まえて、ごみの資源化促進と行政サービスの充実を図るため、7月から市内全域で毎週収集といたします。
また、ごみの分別方法やごみ出し日を簡単に検索できる、ごみ出しアプリを提供いたします。
・「地球にやさしい生活の推進」では、再生可能エネルギーを有効利用することによって、地球温暖化の防止を促進するため、自ら居住する建物に住宅用太陽光発電システムや家庭用燃料電池システムなどを設置する場合の費用の一部を補助いたします。
・「身近な緑・水辺環境の保全と創出」では、濁池において散策路や親水施設の整備を推進するとともに、矢田川散歩道の整備を継続して進めるなど、誰もが気軽に自然と触れあえる水辺環境を創出してまいります。
次に、政策6「活力あふれるまちづくり」についてです。
地域産業の振興は、まちの活力の源です。大都市近郊という地域特性を生かしつつ、関係団体と連携して、時代のニーズに対応した産業の活性化に努めてまいります。
・「商業・工業・農業の振興」では、地元の商工業、農業団体への支援を行うとともに、地域の特性を生かした産業振興の取組を進めます。
また、農業の分野においては、県が実施する事業の費用を一部負担し、ため池の耐震化を推進し、地域資源としての保全も進めてまいります。
さらに、愛知県での開催が内定している、平成31年に開催されます第70回全国植樹祭について、市内の愛知県森林公園での開催に向けて、必要な準備を進めてまいります。
次に、政策7「人と人とがふれあうまちづくり」についてです。
人と人、人と地域のふれあいは、みんなで支えあうまちづくりには欠かせません。世代や性別を超えたつながりの輪を広げ、地域への愛着を一層高める取組を進めてまいります。
・「市民によるまちづくり活動の推進と支援」では、コミュニティ活動推進補助金や自治会等活動促進助成金などを交付し、市民活動の活性化を図ります。
また、市と地域のパイプ役や、地域のまちづくりのコーディネーターとして、平成26年度から一部の地区公民館に配置している校区担当職員を増員して、地域へのサポート体制を強化し、増加している地域の負担を軽減するとともに、地域と行政との風通しの良い関係づくりを推進します。
・「にぎわいの創出とまちへの愛着意識の向上」では、本市の恒例行事であるさくらまつり、たのしい夏まつり、市民祭、農業まつり、冬フェスタの開催を通じて、四季折々のにぎわいを創出します。
また、尾張旭青年会議所が主体となって開催される尾張旭森林マラソンや、尾張旭市観光協会が主催する紅茶フェスティバルを支援することにより、尾張旭市の新たな魅力の発信につなげるとともに、市外の方が尾張旭市を訪れていただく機会の充実を図ります。
・「男女共同参画社会の形成」では、平成27年度から36年度までを計画期間とする第2次男女共同参画プランに基づき、男女共同参画の一層の推進を図ってまいります。その一環として、新たに小・中学生向けの男女共同参画啓発誌を、小・中学生とのワークショップを通じて作成するなど、若年層を対象とした男女共同参画意識の啓発を図ります。
最後に、政策8「分野横断的なまちづくりと市政運営」についてです。
少子高齢化などの環境変化に対応し、定住促進を図るためには、市民のニーズを的確に把握するとともに、市政やまちの魅力を外に向けて積極的に発信していく必要があります。
また、限られた財源の中で、より質の高いサービスを提供するために、効率的で計画的な行財政運営を推進いたします。
・「開かれた市政の推進」では、たいへんご好評をいただいているあさぴーグッズを新たに作成し、あさぴーを活用した市のPRをさらに進めてまいります。
また、定住促進事業においては、平成27年度に引き続きPRポスターを作成し、名鉄瀬戸線の電車内に掲出するとともに、新たにホームページを作成いたします。
さらに、地方創生に係る新しい事業として、地域ブランドの推進を図ってまいります。地方創生の鍵は、地域資源の掘り起こしであり、ないものねだりではなく、あるもの探しであると考えております。本市に昔から伝わるものの、最近ではあまり見られなくなった食事に工夫を加え、イベントなどで紹介することで、広く長く愛される名産品として育てていくことにチャレンジいたします。このほかにも、若い世代の目線で地域情報リーフレットを作成し、本市の新しい魅力を探し出し、市内はもとより、近郊地域も含めて配布してまいります。
・「行財政運営の推進」では、将来にわたって持続可能な行財政運営を実現するため、中長期的な視点を持って公共施設等を総合的かつ計画的に管理していくための基本方針である公共施設等総合管理計画を策定いたします。
また、平成29年1月から、マイナンバーカードを利用して、全国のコンビニエンスストアで住民票が取得できるよう整備を進めてまいります。
・「組織・人事マネジメントの充実」では、将来を担う人材を育て、課題解決力を高めることを目指した組織変更を行います。市の土地・建物等を総合的に管理し、財産の有効活用を、全庁的・戦略的に推進することを目的として、財産経営課を新設するとともに、地域の新たな課題に対応したきめ細やかな自治体運営を行うため、自治体運営の要である財政部門と法務部門を再編し、行政経営課を新設いたします。
次に、特別会計の内容につきまして、主なものを申し上げます。
・国民健康保険特別会計では、医療費の増加による保険税の引上げを抑制するため、引き続き一般会計から繰り入れを行います。また、特定健康診査の受診を積極的に勧奨するなど、加入者の健康な生活と国保事業の安定を図ります。
・土地取得特別会計では、尾張旭市土地開発公社経営健全化計画に基づき、同公社の保有する土地を買い戻してまいります。
・公共下水道事業特別会計では、汚水管渠整備を進めるとともに、西部浄化センターの増設工事を進めてまいります。また、平成29年4月から開始する公営企業会計の運用に向けて、会計システムを構築するなど、移行業務を進めてまいります。
・介護保険特別会計では、高齢者が、いつまでも住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を引き続き進めてまいります。
・水道事業会計では、幹線水道管耐震化基本計画に基づく耐震化を進め、老朽管の布設替えを実施するとともに、水道事業の中長期的な指針となる、上水道施設長寿命化計画を策定いたします。
新年度予算につきましては、骨格的予算とはなっておりますが、喫緊の課題である子育て支援の充実などに重点的に予算を配分するなど、質の高い行政サービスを切れ目なく提供できる予算として編成しております。この4年間、種をまき、芽が出始めた事業につきましても、その成長を止めることのないよう、新年度も引き続き実施してまいります。また、6月には、未来に向けて新たな種をまくため、補正予算で投資的経費の肉付けをさせていただく予定としております。
今年度末までに、全国の地方自治体がそれぞれの総合戦略を策定し、平成28年度は、地方創生に向けた具体的施策が、いよいよ本格的に展開されます。本市においても、現在、尾張旭市人口ビジョン及び総合戦略の策定が大詰めを迎えているところであります。地方創生をめぐりましては、各自治体が工夫を凝らして施策を実施していくことになりますが、本市では、今あるものを生かしながら、新しい魅力を発掘し、他自治体と切磋琢磨しながらも、スピード感を持って取り組み、差別化を図り、「住んでみたいまち」「選ばれるまち」への取組を進めてまいります。
人口減少、少子高齢化が現実的となる中、本市が持続的に成長していくためには、市民の皆様と現状を共有し、進むべき未来を見据え、一人ひとりの損得で判断するのではなく、市民全員が自分のできることでまちづくりに参加していただくことが必要となります。そんな全員参加のまちづくりを進めていくことが、市への愛着を深め、新たな魅力を引き出し、人や仕事、賑わいなどを呼ぶことにつながっていくものと、私は確信いたしており、それに向けて施策を推進してまいります。
ここに、市民の皆様並びに、議員各位の更なるご理解とご協力を賜りますよう切にお願い申し上げまして、私の施政方針とさせていただきます。