先日、埼玉県に行く用事があったのですが、あちこちで枝野官房長官とツーショットのポスターを見かけました。名古屋でも、片山議員や野田議員のものを見かけますが、話によると他の地域では蓮舫大臣とのものもあるようです。

これは2連ポスターと言われているもので、場合によっては3連ポスターになる場合もあります。これらは、対象となる選挙の少し先の演説会の告知ポスターになっていることが多いようです。今ですと、4月の統一地方選挙後、5月に実施する演説会になっているものを見かけます。これらは、公職選挙法の規定により、告示日より決まった日数前に撤去されますが、選挙後に貼り直されたのは見たことがありません。噂によると、演説会も開催されないケースが多いのだそうです。確かに、会場も○○党△△支部とか、ひどいものだと○○駅ロータリーだとか、どこやねん、と突っ込みたくなるようなものもありますし、中には時間が書いてないものもあったりします。

何でこんなポスターを貼るかと言いますと、お叱りを恐れずに言いますと(笑)、「名前を売るため」です。選挙は戦いです。どれだけ迷っても、知らない、聞いたこともない候補者の名前を書くケースは少ないのです。著名な方と並べることで、印象に残った人がいれば、それは投票していただける可能性が上がることになるのです。

まあ、総務省判断では違法ではないようなのですが、個人的には問題あると感じています。一つは、本当に親しくて、応援していれている人とのポスターであればまだしも、恐らくはその政党の中で著名な方を持ってきているケースが多いように感じることと、もう一つは告知した演説会が開催されないことがあることです。どちらも、有権者をだましていることになりませんか?

ただ、この問題の根本は、有権者の投票行動においての選択は、その程度だと思われている、ということにあります。もっと言えば、候補者からなめられている訳です。目立ったもん勝ち、と言われるのはそれゆえです。確かに、選挙は徒手空拳では勝つのが難しいです。公職選挙法の枠の中で、いろいろな「戦略」が生み出されています。しかし、本来は投票というのはそういうことに左右されるべきではありません。

今度の統一地方選で、愛知県知事や名古屋市長と一緒に写ったリーフレットやポスターが街中に溢れるのは想像に難くありません。選挙期間中、応援演説も多くあるでしょう。しかし、その候補者が知事や市長と同一人物である訳ではありません。同じローカルパーティだからといって、性格や人柄、そして政策までもが完全に一致するものではありません。「ああ、○○さんと一緒に写真に写っていた人ね」という感覚で選んでいては、いつまで経っても候補者はこうした「戦略」で選挙をしてくるでしょう。

私は、諸悪の根源は、国政選挙も市町村の選挙も、同じ枠組みで実施する公職選挙法にあると考えています。今の選挙制度では、人柄や性格、政策を知る術があまりに少なすぎます。私は以前から、7日間を午前午後に分けて、合計14回、市内各所で合同の演説会を実施し、候補者も有権者もそれぞれ好きなところに出席すればよい、選挙活動はそれだけにしよう、と言っています。その方がずっと伝わりやすいですし、選挙にお金もかかりません。候補者の意識にも問題大ありですが、有権者の選び方もそろそろ見直す時期にきているのではないでしょうか?