ブログ版水野義則Times(アーカイブ)

愛知県尾張旭市の水野義則です。市議会議員を4期13年、市長を2期6年9ヶ月務めさせていただきました。地方自治、政治に携わらせていただいておよそ20年、現職でなくなった今だからこそ発信できることがあると思います。「私が言う」ことで、多くの人が何かを考え、何かを感じていただければと思い、引き続き発信していきたいと思います。

選挙事務所

最近よく「選挙事務所、どこ?」と聞かれます。皆さん、意外に「選挙」というと「選挙事務所」を思い浮かべられるようです。どんなシーンが思い浮かぶのでしょうか?万歳したり、支援者と抱き合ったりしているシーンでしょうか。

実は、選挙事務所というのは、告示日から投票日の前日までしか存在しません。投票日当日は、投票所から300m以内の選挙事務所は、看板すら目隠しされているはずです。

じゃあ、今ある事務所は何かと言いますと、実は後援会の事務所です。もっと正確に言うと、政治団体の事務所です。本来、政治団体は届け出た事務所の住所がありますので、選挙のために移転した、と考えるのが正確なところです。立候補届を提出して、さあ事務所を作るぞ、なんてことはできませんので、告示までは後援会事務所があって、立候補と同時に選挙事務所に切り替わっている訳です。

よく「選挙事務所って必要なの?」とか「お金の無駄じゃない?」と聞かれることがありますが、選挙に関する事務を執り行う場所は選挙事務所となりますので、1候補者あたり1ヶ所の選挙事務所が設置されていることになります。ただこれは、あちこち分散して選挙運動をしないよう、1ヶ所に制限しているもので、自宅でも構いません。幹線道路などに選挙の時だけ事務所ができるのは、目立つところの方が有利だと考える候補者が多いからです。アパートの1室であっても、マンションの最上階であっても、別に問題はありません。既存の建物を借りられる方や、プレハブを建てる方もあります。プレハブは、今は建築基準法が厳しくなって、1週間のことでも基礎工事からやらないといけないようです。プレハブの借り賃より、そっちの工事の方が高いとこぼしている人もいました。

では、選挙事務所の中では何をやっているの?ということですが、公選ハガキを書いたり、整理したり、電話がけをしたりしています。来客があれば、接客もあります。昔は、お酒がふるまわれたり、弁当が出てきたりして、事務所めぐりをしては、どこの弁当がうまいとかいう話をしてたりしたという噂を聞きますが、公職選挙法ではそういうことは厳に禁止されています。喫茶と茶菓子程度、とされています。ペットボトルの飲料やケーキは厳密にはNGだ、という人もいます。

「お客さんなんて来ないし、事務所なんかいらないや」という候補者もいます。そういう方は自宅でやられていたりします。ただ、選挙の収支報告には記載する必要があります。例えば、事務所を月12万円で借りた場合、その7日分(市の場合)を計上し報告します。2万8千円ということになります。水道代や電気代なども、7日分を按分で計上します。自宅の場合は、その近辺での相場を勘案して、同様に計上します。ウソのようですが本当です。選挙に使用したと報告された金額より、たくさんのお金が選挙にかかるというのはこういう部分です。事務所も7日間だけ貸してくれるようなところはないですから。無償で借りた場合は、寄付として計上し報告します。

いわゆる「基地」としての事務所は、私は必要だと思っています。2期目の時、せっかく建てたんだからと自宅でやったのですが、相当悲惨なことになりました。何より、自宅だと支援者の方も来にくいようで。皆さんは選挙事務所は必要だと思いますか?無駄だと思いますか?


有権者はなめられている?

先日、埼玉県に行く用事があったのですが、あちこちで枝野官房長官とツーショットのポスターを見かけました。名古屋でも、片山議員や野田議員のものを見かけますが、話によると他の地域では蓮舫大臣とのものもあるようです。

これは2連ポスターと言われているもので、場合によっては3連ポスターになる場合もあります。これらは、対象となる選挙の少し先の演説会の告知ポスターになっていることが多いようです。今ですと、4月の統一地方選挙後、5月に実施する演説会になっているものを見かけます。これらは、公職選挙法の規定により、告示日より決まった日数前に撤去されますが、選挙後に貼り直されたのは見たことがありません。噂によると、演説会も開催されないケースが多いのだそうです。確かに、会場も○○党△△支部とか、ひどいものだと○○駅ロータリーだとか、どこやねん、と突っ込みたくなるようなものもありますし、中には時間が書いてないものもあったりします。

何でこんなポスターを貼るかと言いますと、お叱りを恐れずに言いますと(笑)、「名前を売るため」です。選挙は戦いです。どれだけ迷っても、知らない、聞いたこともない候補者の名前を書くケースは少ないのです。著名な方と並べることで、印象に残った人がいれば、それは投票していただける可能性が上がることになるのです。

まあ、総務省判断では違法ではないようなのですが、個人的には問題あると感じています。一つは、本当に親しくて、応援していれている人とのポスターであればまだしも、恐らくはその政党の中で著名な方を持ってきているケースが多いように感じることと、もう一つは告知した演説会が開催されないことがあることです。どちらも、有権者をだましていることになりませんか?

ただ、この問題の根本は、有権者の投票行動においての選択は、その程度だと思われている、ということにあります。もっと言えば、候補者からなめられている訳です。目立ったもん勝ち、と言われるのはそれゆえです。確かに、選挙は徒手空拳では勝つのが難しいです。公職選挙法の枠の中で、いろいろな「戦略」が生み出されています。しかし、本来は投票というのはそういうことに左右されるべきではありません。

今度の統一地方選で、愛知県知事や名古屋市長と一緒に写ったリーフレットやポスターが街中に溢れるのは想像に難くありません。選挙期間中、応援演説も多くあるでしょう。しかし、その候補者が知事や市長と同一人物である訳ではありません。同じローカルパーティだからといって、性格や人柄、そして政策までもが完全に一致するものではありません。「ああ、○○さんと一緒に写真に写っていた人ね」という感覚で選んでいては、いつまで経っても候補者はこうした「戦略」で選挙をしてくるでしょう。

私は、諸悪の根源は、国政選挙も市町村の選挙も、同じ枠組みで実施する公職選挙法にあると考えています。今の選挙制度では、人柄や性格、政策を知る術があまりに少なすぎます。私は以前から、7日間を午前午後に分けて、合計14回、市内各所で合同の演説会を実施し、候補者も有権者もそれぞれ好きなところに出席すればよい、選挙活動はそれだけにしよう、と言っています。その方がずっと伝わりやすいですし、選挙にお金もかかりません。候補者の意識にも問題大ありですが、有権者の選び方もそろそろ見直す時期にきているのではないでしょうか?

何かに依存する候補予定者たち

激戦・乱戦が予想される尾張旭市議会議員選挙ですが、名前が挙がっている人の中に、今の市長の市政運営をかなり声高に批判していた方が何人かいます。当然、今の市長の市政運営を変えるべく、議員になるのだと思っていましたが、どうやらそうではない方がいらっしゃるようです。市長与党を公言したり、市長後援会の市政報告会に出席していたり、なんだかなぁ、という状況です。

少し前まで、後援会のリーフレットに市長と握手している写真を載せたり、市長の推薦文を載せたりするのがはやりでした。今でも、公選ハガキには市長の名前が載っているケースは多くあります。しかし本来、二元代表制の中、お互いに切磋琢磨する立場にある以上、この構図は分かりにくいと思います。私も、前の市長から、写真撮るなら時間取るよ、とまで言っていただいたことがありましたが、それは筋が違うからと丁重にお断りをしたことがあります。一方で、市長選挙で戦った相手候補の方が、一緒の写真を撮るためお願いに行った、なんて話を聞きますと、正直なところ「何のため、誰のために議員になろうとしているのかな?」と思えたものです。今回のことは、これとオーバーラップします。

愛知県議会や名古屋市議会でも、知事や市長のローカルパーティーにすり寄ろう、という雰囲気が大きくなっています。「民意」という便利な言葉を盾に、自分のポリシーを曲げる人も出てくるでしょう。あえて、所属していたり推薦をもらっていたりした政党の公認や推薦を外し(隠し)ている人もいます。「戦えない」とは方便で、要はより確率の高くなる方法に寄っていきたい、何かに依存したい、ということなのだと思います。そんな政治家が、市民国民から果たして信頼されるのでしょうか?

自分の思いを訴えて、それでも落選したのなら、それはそれで仕方ない、私は今までもこれからもそういう気持ちです。自分の思いを曲げて当選することの方が、私にとっては耐え難いことなので。
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