尾張旭市議会には、請願や陳情を提出することができ、それは基本的に定例会で審議されることになります。

尾張旭市議会 請願・陳情について

これは、「請願権」に基づくもので、国や地方公共団体の機関に対して、その職務に関する事項についての希望・苦情・要請を申し立てる権利で、日本国憲法第16条で保障されているものです。

日本国憲法第十六条
何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

ですので、尾張旭市議会に提出されるのは基本的に「請願」ということになりますが、紹介議員の有無により「請願」と「陳情」に分けて取り扱っています。「請願」で提出されると、本会議の中で紹介議員が請願の内容について説明することになります。これとは別に、請願・陳情については提出者が、それが審査される委員会の前に、趣旨の説明をすることができます。これは尾張旭市議会が先進的に取り組んできた制度であり、今では全国的に広がってきています。

請願・陳情はいつでも提出できますが、それぞれの定例会ごとに締切日が設定されており、その締切までに提出されたものについて、その定例会で審査されることになります。その締切日については「会議等のお知らせをご覧ください」となっていますが…なんか載ってないような気もします。

尾張旭市議会では、請願と陳情の取り扱いについてあまり差を設けていません。ですので、紹介議員までお願いした請願の重みが軽すぎる、という議論が以前からあり、議会のあり方検討会などの中で協議してきた経緯もありますが、今でもそれは変わっていません。特に大きな議会では、たくさんの陳情が提出されることもあると思うのですが、紹介議員の無いものについては一覧にして配付するだけで審査しない、という議会もあります。尾張旭市議会では、郵送で届いたものについてはそのような取り扱いになりますが、直接持参されたものについては陳情として取り扱い、全て審査しています。森市長は議員時代に、陳情は一覧表を配付するだけで良い、と繰り返しおっしゃっておられました。それだけ請願の重みを重視していたのだと思います。

私が議員になった頃は、先輩議員の中には「内容は良いけど、出所が悪いわ」などとはっきりおっしゃる方もありました。提出された団体で判断していた、という面があったと思います。賛成する、反対する(賛成しない)ことを先に決めて、理由は後から付ける、というようなこともよくありました。確かに、タイトルだけ読むと「なんでこんな良いものが採択されなかったのか?」と思うものもありますが、実際に内容を見てみると、政権批判だったり別の政策批判だったりが並んでいることも珍しくありません。中には何十もの要望事項を羅列したものもあり、例えば50くらいある要望事項の中で、いくつかは既に尾張旭市ではやっていたり、いくつかは賛成したい項目もあったりして、陳情者に分割して出せないか?と聞いたこともありましたが、これらは一体となって意味を持つので分割はできない、と断られたこともありました。部分採択、という手もあったと思いますが、50の内の1つだけ採択というのも、ほとんど意味をなさないと思ってやってきませんでしたが。

今、開会中の3月定例会にもいくつかの陳情が出されていると思います。それぞれ、付託された委員会で審査され、3/19の本会議で最終的に採決されるはずです。「反対するなら理由を述べよ!」というやり取りがたまにされていましたが、今議会ではどのようなやり取りがなされるのでしょうか。