選挙公営とは、選挙に必要な費用について、上限を決めて一定の条件の下で公費で負担する制度のことです。これは、資金力の無い人でも立候補しやすくなるように、という趣旨で設けられており、国政選挙の制度を参考に、各自治体が条例で定めています。国政選挙は市議会議員選挙に比べて2倍、町村議会議員選挙は選挙期間が5日間と短いこともあり無しのようです。日数が短くなっても、かかる経費はほとんど変わらないんですけどね。

それで、選挙運動用自動車、いわゆる街宣車については、まず大きく分けてハイヤー方式とそうでない方式に分かれます。ハイヤー方式は、その名の通り、車を運転手付きで借りる形です。

ハイヤー方式でない方は、「車本体」「運転手」「ガソリン」をそれぞれ個別に契約して借りるまたは売り掛けで供給してもらう形です。尾張旭市ではこちらが一般的ですが、地域によってはハイヤー方式が多いところもあるようです。

ここで注意が必要なのが、車の設備関係は選挙公営の対象にはならない、ということです。つまり、看板やスピーカーなどは、自腹で支払う必要がある、ということです。最近は、そうした設備をセットにしたレンタカーも用意されていますが、本来は車本体分と設備分に分けて請求してもらい、前者のみ選挙公営の対象とすべき、ということになります。

街宣車で難しいのは、色々な道の「プロ」が必要なことです。ざっくり

・車のプロ
・電装のプロ
・看板のプロ

が必要になります。車を用意し、看板を載せ、スピーカを載せて車内にマイクアンプを設置する、という作業をする必要がありますが、これを1ヶ所でできる、というところは大変少ないです。となりますと、車を少し早めから借りて、看板屋さんに事前に作ってもらっていた看板を載せてもらい、電装やさんがスピーカーやマイクの配線をする、という流れになります。大抵は、予備のバッテリーを積んで、そこから電源を取ります。素人では難しいです。

選挙公営は、あくまで選挙期間の7日間が対象ですから、長く借りれば借りるほど自己負担は大きくなります。しかし、設備外のものを積載しているので、警察の許可が必要となり、事前審査を受ける必要がありますので、ぎりぎりに調達するのも難しいです。成人式の美容院のように、業者さんもいっぱいいっぱいになってしまいますし。

運転手は、身内を雇用する形にしたりしますと「公費で身内は駄目だろ」という方もあります。しかし、身内といえども、普段の仕事を休んで選挙運動してもらう分には、収入が減るわけですから、それなりの給料が払える、というのはありがたいです。

もう1つ、ガソリンについても「そんなに使うわけ無い。他の車に入れてんじゃないの?」と言われます。しかし、街宣車は総じて燃費は最悪です。あんな重いものを積んで、人もいっぱい積んで、予備のバッテリを充電するためにエンジン掛けっぱなしで、私の場合は自転車街宣なので時速が10km/hくらいだし、燃費が良くなろうはずもありません。しかもガソリン代の選挙公営につきましては、売り掛けでの取り引きが前提ですから、最近多くなっているセルフスタンドでは不可、ということになり、有人のスタンドを候補者が一斉に探し、何人かが同じスタンドで鉢合わせ、ということが起こっています。

まあ、このように面倒くさい選挙運動用自動車ですが、選挙公営があるというのは非常に助かっています。私は今度の選挙では、運転手以外、車本体とガソリン代は選挙公営を使用しない予定です。車本体は前回も使用しなかったのですが、これは同居親族の車を使用した場合は選挙公営の対象外のためです。今回も自宅のアトレー軽で市内をくまなく回ろうと思っています。