写真は、雨樋の排出口付近で放射線量を測ったときのものです。20マイクロシーベルト/Hを超えています。かなり高い数値です。この数値は、機器によってまちまちの値を示し、一体どれが本当なのか分からないのですが、写真の機種はウクライナ製で評判の良い機器だそうです。5万円くらいとか。役場の電光掲示板ともほぼ同じ数値を示していましたので、精度は良いのだと思います。
この機器、デフォルトでは0.3マイクロシーベルト/Hでアラームが鳴るように設定されているのですが、これは3マイクロシーベルト/Hまで設定を上げてありました。なぜなら、0.3では鳴りっぱなしになるからです。それが今の、福島県のいくつかの地域の現状です。
このとき、ちょうどふれあいセンターの鍵がなくて、外で話をしながら待っていました。地元の方からは「被曝しながら」などというブラック(?)ジョークも飛び出す中、ある方がこの機器を持ってしんみりと
こんなものが無ければ、分からないのに…
とおっしゃいました。ふと、周りの景色を見渡すと、綺麗な夕方の空で、空気も澄んでいて、そこに放射線が飛び交っていることなど、確かにガイガーカウンターがなければ意識することもない、そんな風景が広がっていました。知らされなければ知ることのできない現実、見えないものと闘う疲労感、福島の方々は確実に疲弊へと向かっていると感じました。内部だけでは消化しきれない、誰かにこの思いを聞いて欲しい、いろいろな話をして、そんな強い思いを皆さんから感じました。その思いはとても重いものでした。脱原発も良いですが、まずは今困っている人たちの生活を何とかしていかなければなりません。
福島の方々は、口を揃えて「これは人災だ」とおっしゃっておられました。幹部は早々に家族を避難させ、住民を移動させるバスまで用意していた、等の話のある地震直後ですが、それでも廃炉を恐れ海水を注入しなかったことが、結果的に被害を拡大させることになったのは明白です。そして今も、住民に対してまともに対応されていない点に、皆さん憤りを感じておられます。
写真は霊山こどもの村です。少しずつ紅葉してきていて、とても綺麗でしたが、例年なら車で一杯になるという駐車場には車は無く、人がいませんでした。遠足で賑わうというこども村も、肝心の部分が立入禁止となり、入場者数は99%の減だそうです。子どもが一番喜ぶであろう目の前の滑り台は、皮肉なことに放射線を集めてしまい、一番下の部分で相当な放射線量とのことでした。
観光客が減り、商店は撤退していき、野菜や果物は出荷もままならず、どんどん住みにくくなる中、
いつまでいていいのだろう?
という不安と闘っておられる様子に、胸が痛みました。子どもをすぐに避難させてあげられなかった大人の自分、そうはいっても家計のために仕事をしなければならない現実、家族やローンの残る家など簡単に捨てられない事情、いろいろな葛藤の中で日々生活をされています。既に離れ離れになった家族もあり、毎日このことで喧嘩をしているんだと語られた方もありました。本当なら、子どもの進路とか、そういうことで喧嘩したかったであろう家族が、放射線への向き合い方で必要のなかった喧嘩をしなければならない、その現実に胸がしめつけられる思いでした。
自分たちが一体何をしたと言うのか!
という思いでいっぱいなのだと思います。
自分たちに何が出来るのだろう?という思いを、ストレートにぶつけてみたところ、皆さん
以前に戻して欲しい
とおっしゃられます。この声は、政府や東電の方に届いているのでしょうか?
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